イラストレーター 浦正氏の仕事スタイル
- 名前
- ウラ タダシ / 浦 正
- 肩書き
- イラストレーター兼画家
- 所属
- gleamix
- URL
- www.gleamix.jp
- @TadashiURA
- お仕事はどのような形態でされていますか?
- 私はフリーのイラストレーター兼画家として、クライアントワークとプライベートワークの二通りの創作活動をしています。クライアントワークのときはイラストレーターとして、プライベートワークを制作・発表するときは画家というスタンスです。
イラストレーターとしてはWeb、印刷と媒体を問わず制作しています。また制作手法も手描き、デジタル、双方を融合させるなど、色々な手法をその案件毎にディクターさんと相談しながら決めています。
画家としては、主に作品の展示・販売や水墨画のライブドローイングなどをやっています。 10月に作品展示とライブドローイングで渡米した際に、海外の方の反応を得ることが出来たことはとても良い刺激になりました。

- Webでのお仕事もされているという事ですが具体的にはどのような事をされていますでしょうか?
- トップから中ページまでサイト全体のビジュアル制作や、それに付随するカットやアイコン、キャラクター、ときにはアニメーション用のコマの作画をやる事もあります。Webの場合はインタラクティブな仕様に伴った作画を求められる事も多いですので、その場合は一枚の絵ではなく、それぞれの必要な素材のレイヤーを分割して制作し納品することもありますね。
- Webでのイラストレーションの受託はチームを結成が多いと思いますが その際に気をつけている事などはありますか?
- まず第一に、制作チームの一員として与えられた役割の中での最高の仕事をするということを心がけています。プライベートワークのように自分のために描くという意識ではなく、何よりもクライアントあっての話ですので、自分が描くことで誰かの役に立ちたいという意識ですね。
クライアントさんのため、私を信頼し依頼してくれたディレクターさんのため、そしてその案件のターゲットユーザーや広くは社会のために、与えられた範囲内で出来る限りの良いものを描きたいと思っています。いつも新規案件をご依頼いただいた最初の打合せでは、まずは自分の役割を客観視しつつ、案件のコンセプトや訴求目的などを制作チームの一員としてしっかり共有したいと思っています。 - プライベートワークがきっかけでクライアントワークに繋がった案件などがあればご紹介いただけますか?
- 今までプライベートワークで発表した作品がきっかけで、クライアントワークに繋がった案件は多々ありますが、中でも「株式会社セラク」のコーポレートサイトは、コンセプトやチーム結成など初期段階から関わらせて頂き、とても良い経験になりました。これは私が以前発表していた作品をご覧頂いていたセラクの社長さんが私を大変気に入って下さり、自社のサイトリニューアルに際してのビジュアルアイデンティティから制作チームの結成まで、全面的に私に任せたいという依頼でした。
このようなプライベートワークがきっかけで発生した案件の特徴としては、クライアントさんとの世界観の共有が比較的容易という実感があります。作家性をより多く出せるというのはプレッシャーも大きいですが、素直に嬉しいことですね。ただ仕事としての役目は見失わないように、客観的であることも普段以上に心がけるようにしています。
- この作品にしようと思った発想はどんなところからですか?
- もともと私のプライベートワークを気に入って頂いた経緯があるので絵の世界観のズレもほとんどなく、最初に先方が漠然と持っていた新サイトイメージの要望やコンセプトについても、打合せですぐに共有することができました。
先方とのディスカッションで見えて来たビジュアルコンセプトとしては「1、ITの会社なのでワールドワイドに広く示せるコーポレートサイトにしたい」「2、全世界の人が見ても日本の会社であることが一目瞭然であること」「3、強烈なインパクトがありつつも、魅力ある日本の美や風情を感じるサイトであること」「4、伝統的でありつつ、現代的でもあること」などいくつかありました。
そのころ丁度プライベートワークで日本画を描いていたので、その技法を取り入れつつ、色々な手描きの手法をデジタルで融合させた新たな日本的世界観を描くことにしました。
サイト全体のデザインとディレクションは信頼しているアートディレクターさんにお願いしました。その方と一日中図書館で資料集めをしたり打合せをする中で、さらにイメージを固めました。 - いくつかの描画(パターン)が組み合わさっている作品というのは面白い発想ですね。 よろしければ、実際の作品サイズ、描画方法、制作期間など詳しく教えていただけますか?
- 実際に原画全てを組み合わせた時の全体サイズは横が2m、縦が50cm位はあると思います。これはWeb上で動かすことを想定して作画しているので、一枚のキャンバスに描かれたものではなく、異なるタッチの絵を個々に描いています。そしてそれらを全て高解像度スキャンした後、デジタル上で合成しています。
原画は全て手描きで、画材は膠で溶いた岩絵具や水干絵具、胡粉、金泥、金箔、銀箔、墨、鉛筆、ペンなどを使って和紙に描いています。
製作期間は企画段階やフラッシュ作業期間を入れずに作画のみでは2ヶ月ほどかかりました。もちろんその間に他の仕事もやっていて単純に係っきりではないので、実際はどれくらいかかるか自分でもよくわかりません(笑)
Web上での動きについては、私の方で作画段階で見えている構図の流れがありますので、それを繁栄した形でフラッシュの方にお伝えしました。 伝統的な日本画や水墨画には鑑賞者の目線を無意識に誘導するための表現が随所に散りばめられています。例えば木の枝振り一つとってもそれは次の目線の先を示していたり、飛ぶ鳥の方向や、咲いている花の蕾の傾きなども、視線を無意識にコントロールして絵の中を心地よく誘導するための効果的な要素になっています。
そんな絵の中に漂う気の流れのようなものを、完成した全体画像に矢印で書き込んで制作スタッフに提案し、絵を遷移させて見せる動きについて打合せをしました。
- 絵を描くスタイルとして一番気にしているところは何ですか?
- クライアントワークでは人のために描くということ、客観的に自分の役割を理解して、多くの人に喜んでもらったり楽しんでもらうために描くということを心がけて制作しています。一方、プライベートワークでは自分のために描くということ、今の自分が描きたいと感じていることを精一杯残すということを心がけて制作しています。そして、それぞれの創作スタイルが互いに刺激し合うことで、マンネリになりがちな創作活動のカンフル剤としたいと思っています。
- ご自身を客観的に見て、浦正さんワールドは一言で表現してください。
- 『わ』でしょうか。『わ』という一音には、日本的や和やかという「和」もあれば、人との絆をイメージする「輪」などもあります。私自身、常に和やかでありたいし、多くの人達の輪の中にいるという意識も持ち続けたいですから、たぶん私の世界観は『わ』という感じだと思います。
インタビュアーからひとこと
浦正さんの世界はご自身でも言われるように「和」が広がります。 「和」の印象として”昔”の印象が強くなってしまいますが、浦正さんの世界は”和を現代に持ってきている感じ”を受ける事ができました。 Webにアナログの作品を持ってきたり、逆にアナログのライブドローイングの作品に現代的な要素を持っていきたりと、どの作品を見ても今を感じ、そのせいかとても身近に感じられ共感する事ができました。
話題になった情報リンク
質問コーナー
- いつからイラストレーターになりたいと思いましたか?
- 中学生の頃からですね。それまでは絵描きさんになりたいと思ってましたが それでは将来食べていけないよと周りの大人たちに言われて悩んでいた頃に、 イラストレーターという商業絵描きという職業を知ったのがきっかけです。
- イラストを描くときはどんな環境で行いますか?
- 朝から鳥の囀りを聞きながら、1人静かに黙々と描くのが理想ですが ほとんどの場合、日常の雑多な事も交えつつ目まぐるしく制作しております。
- Webの魅力はどんなところにありますか?
- 一瞬にして世界中と繋がれるところや、知りたい情報がすぐに得られるところ。
- ひとつだけ夢がかなうとしたら、どんな夢をかなえたいですか?
- 絵を描きながら世界旅行。
次のご紹介者
内田郁夫さん
void productions Sound Designer
株式会社 セラク